2006/12/31(日)2006年を振り返る

2006/12/31 20:03

 2006年も残すところあとわずかとなりました。EXIT_FAILUREは一応野球系ブログのつもりなので、2006年を振り返る企画として、今年印象に残ったゲームを5試合ピックアップして、改めて語ってみたいと思います。選出の基準はあくまでも私の独断と偏見ですので、その辺りはご容赦ください。


□ 第5位:中日 vs 阪神 第18回戦(9月16日)

 http://www6.nikkansports.com/baseball/professional/score/2006/200609160dt.html

 つまずきながらもマジックを減らしていくドラゴンズと、怒涛の追い上げで逆転優勝を狙うタイガースの直接対決。タイガースの先発は既に10勝をマークしている福原、そしてドラゴンズの先発は大ベテラン山本昌でした。

 福原は井端、ウッズにホームランを浴びて3点を失ったものの、打たれたヒットの数はわずかに5本。これで責めるのは酷というものでしょう。しかし、この試合ではその3点が致命傷でした。

 そう、山本昌がノーヒットノーランを達成したのです。しかも、許したランナーはサードゴロエラーの一人だけという準完全試合。タイガースの追撃ムードを断ち切る見事なピッチングでした。

 しかし、このサードのエラーというのがまた微妙なプレイで、バッター赤星の脚を考えると、きっちり処理していたらおそらく内野安打だったんですよね。記録を残すには実力はもちろんのこと、運も大きな要素であるということを物語るような試合でした。


□ 第4位:アメリカ vs 日本 ワールドベースボールクラシック2次リーグ第1戦(3月13日)

 http://d.hatena.ne.jp/silence1998/20060313#1142264554

 あのボブ・デービッドソンの名前が日本中に知れ渡るきっかけになった一戦。そして、日本国内ではどこか盛り上がりに欠けていたWBCが、一気に盛り上がるきっかけになった一戦でした。

 事件が起こったのは3-3の同点で迎えた8回表、1アウト満塁の場面。岩村のレフトフライで三塁ランナー西岡がタッチアップからホームイン……のはずでしたが、アメリカ側の「スタートが早い」というアピールによりこのタッチアップは無効とされ、ランナー西岡はアウトとなってしまいました。そして、VTRを見る限りでは、西岡は正規のスタートを切っていたので大問題に……。

 ちなみにこのようなケースでは、本来であれば三塁塁審が判定を行い、二塁塁審が補佐を行うのが通例です。そして今回、二塁塁審はセーフの判定をしました。しかし、我らがボブはそれをわざわざ覆してアウトと判定したのです。確かに、最終的な判定の権限は球審にあるわけですが、やはりこのケースではボブが出しゃばりすぎた感があります。

 しかし、この事件って、日本が優勝したからこそ笑い話で済んだんですよね……。


□ 第3位:智弁和歌山 vs 帝京 第88回全国高等学校野球選手権大会準々決勝(8月17日)

 http://d.hatena.ne.jp/silence1998/20060817#1155830803

 この試合の前に行われた駒大苫小牧-東洋大姫路戦も見事な逆転劇でしたし、引き分け再試合となった決勝戦の激闘も壮絶だったのですが、それらと比べてもこの試合で受けたインパクトは別格でした。

 4点を追う帝京は9回表、先頭打者の代打沼田君がサードゴロに倒れたものの、そこから連打連打で7安打を集中し、一挙8点を奪って逆転に成功します。トドメは打者一巡した後の沼田君の3ランホームランでした。

 これで勝負あったかと思われましたが、その裏、智弁和歌山は橋本君の3ランで1点差とします。その後も制球の定まらない帝京投手陣からフォアボールを選びまくってチャンスを作り、代打青石君のタイムリーで同点に追いつくと、最後は古宮君が押し出しフォアボールを選んでサヨナラ勝ち。

 とにかく「勝負は下駄を履くまでわからない」という言葉の意味を痛感する試合でした。


□ 第2位:西武 vs ソフトバンク プレーオフ第1ステージ第1戦(10月7日)

 http://d.hatena.ne.jp/silence1998/20061007#1160221258

 ライオンズ松坂、ホークス斉藤和という両エースの死力を尽くした投手戦。勝負を決めたのは、7回表裏の攻防でした。

 7回表、ホークスは2アウトランナーなしから連打とデッドボールで満塁とします。川崎のデッドボールは2ストライク後の微妙な球をボールと判定された後のもので、松坂への精神的な影響が心配されましたが、松坂は続く大村をファーストゴロに打ち取ってピンチを凌ぎました。

 対するライオンズはその裏、中島、カブレラの連打でノーアウト一二塁とします。ここで斉藤和が鼻血を出してベンチに下がるというアクシデントが発生しました。5分ほどの中断で斉藤和はマウンドに戻ってきましたが、この中断が斉藤和のリズムを崩してしまったようです。再開後の2球目はフォークがど真ん中に入ってしまい、和田はそれを見逃さずに値千金の先制タイムリーツーベース。斉藤和は6回まで福地の内野安打1本に抑えており、むしろ松坂より調子が良かったにもかかわらず、たった1イニングの綻びで敗戦投手となってしまいました。野球ってわからないものです。そして、だからこそ面白い。

 ちなみに、私はDH制を全面的に支持しているのですが、それはDH制を導入することにより、このような展開の試合でピッチャーに代打を出す必要がなくなって、投手戦に水を差すような事態が発生しないからです。DH制はバッターのための制度ではありません。ピッチャーのための制度なのです。


□ 第1位:日本ハム vs ソフトバンク プレーオフ第2ステージ第2戦(10月12日)

 http://d.hatena.ne.jp/silence1998/20061012#1160667535

 ファイターズが25年ぶりのリーグ優勝を決めたゲーム。しかし、この試合で取り上げたいのはそのファイターズではなく、投手部門のタイトルを総なめにしたにもかかわらず、プレーオフで2戦2敗に終わった斉藤和です。

 斉藤和は、プレーオフで登板した2試合において合計2点しか失っていません。しかし、2試合で1点も援護をもらうことができませんでした。対戦相手の松坂、八木が良かったということもありますが、それにしても報われないピッチングです。この試合でサヨナラ負けが決まった後、マウンドにうずくまって号泣した姿に心を打たれた方も多いことでしょう。私はプロが人前で悔しがったりするのはあまり好きではないんですが、それでもこの時ばかりは「お前は今泣いていい」と思いました。この日の涙は、きっと来シーズンに繋がることでしょう。