もう一週間ほど前の話になりますが、花巻東高校の大谷がファイターズへの入団を決めました。私はライオンズファンですが、一プロ野球ファンとしてとても嬉しく思います。
この件に関しては、賛否両論が巻き起こっているようです。アマチュア時代から注目を集めた選手なだけに、直接メジャーに行くのを見たかった人が多いのは分かりますし、大谷の決断を残念がる気持ちも分からないでもありません。しかし、この件でファイターズを非難するのは勘違いも甚だしい。
何か誤解している人も多いのですが、プロ野球は興行ではありますが慈善事業ではありません。それぞれの球団は入場料、グッズその他の売り上げなどで利益を上げなければいけないのです。ファンを集めるには魅力のある試合をすること、そして勝つことが大事ですから、スター性もあり、実力も申し分ない大谷を獲得したいと思うのは当然でしょう。メジャーに行かせてもファイターズの利益にはならないのですから。
こういうときに「プロ野球界のため」「グローバル化」という言葉を持ち出す人がいるのですが、大谷をメジャーに行かせることが日本プロ野球界のためになると、心の底から本気で思っているのでしょうか。そのあたりが私にはちょっと分かりません。
ファンが無責任な発言をするのはある意味仕方がないとは思います。私もそうですし。しかし、発言力がある学者さんや知識人の口から出る、意図的に経済とスポーツを混同しているであろう発言には反吐が出ます。あんたらプロ野球界の財政状況分かってるのかよ。8年前に何があったか知らないのかよ。なんで選手会がWBCで揉めたのか知ってるのかよ。有望選手をメジャーに行かせればそれが解決するのかよ。
さて、すでに各所でも話題になっていますが、ファイターズが大谷との交渉時に使った資料が公開されました。
[ニュース | 大谷選手との入団交渉時に提示した球団資料について | 北海道日本ハムファイターズ](http://www.fighters.co.jp/news/detail/3251.html?wapr=50cc5176)
素晴らしいプレゼン資料だと思います。大谷の希望を改めて確認し、他の選手の実績をもとに予測される未来を提示した上で、最良の未来に繋がる道はどれであるかをしつこくならない程度にアピールしています。
こういうデータはなかなか客観的になりづらいものですし、今回のデータもファイターズ側の主観的な判断が入り込んでいる部分もあるでしょう。ただ、それほど強引な解釈をしているとは思えない程度には説得力のある資料に仕上がっています。また、大谷とファイターズはWin-Winの関係であることを強調した上で、「いきなりメジャーに行けば日本初かもしれないけど、世界的に見ればパイオニアでもなんでもねーし」と、大谷のメジャー挑戦の根拠の一つをさり気なく、あくまでさり気なく否定しているところもお見事です。このさじ加減は絶妙だと思いました。
プレゼンテーションとはかくあるべきですね。(自分の業界のプレゼン資料を思い出して暗い気分になりながら)